かつては「おまかせ医療」が当たり前で、病院に行って検査などをしても、患者に対する説明はごく簡単なもので、詳しい数値などは知らされることがありませんでした。この数十年の間に日本の医療や医師と患者の関係のあり方も変化してきて、血液検査などの結果は、診察時にプリントして手渡されることが一般的になってきました。
私はレントゲンやCT、MRIなどの検査を受けたら、必ずその画像のコピーを医療機関からCDにしてもらってきます。諸外国では患者が持っていることが当然で、転居してかかる病院が変わってもその記録を新しい医師に見せることができれば診療にも役立ちます。
日本ではあまりこうしたことが浸透しておらず、「画像のコピーをください」と言うと「どこの医療機関に渡すのですか?」と聞かれ、「私が持っているためです」と答えると、怪訝そうな表情で見られたりしていました。
現在私が通院している病院では、CDと一緒に、写真のような手紙が入っています。これは、記録を請求した患者に宛てられた手紙で、「これらは患者さん自身のものであると判断してお渡ししています」とあります。医療者もこのように言ってくれるようになったのだ、と嬉しく思います。
皆様も是非ご自分の記録をお持ちになられるように、お勧めします。客観的なデータを持つことによって患者の可能性や立場がどれほど広がるか、感じていただければと思います。
診察室でチラッとしか見ることができなかった自分の画像、自宅で何度でも確認できるだけでも大きな安心です。